せっかく構想されたふるさと納税ですが、寄付者に使ってもらわなければ意味がありません。ふるさと納税は国税である所得税と地方税である個人住民税が控除されます(ワンストップ特例制度では個人住民税のみ)。地方自治体への寄付ですが国の役割も大きく係わってきます。寄付者の志を生かすと言うことから下限5,000円として事務手続きの簡素化を図りました。また、2,000円を超える部分については全額が控除されます(一定の上限があります)。

元々、個人住民税は地域社会の会費と言う意味がありました。それを他の地方自治体へ寄付と言う形で移転する事は革新的な事です。ちなみに地方自治体は市区町村だけでは無く都道府県も対象となります。

ふるさとは出身地を生育地だけを対象とすると客観的な資料が乏しく、確認も困難です。更に出身校、過去に居住した街などを特定することの事務的な困難さを考えると、ふるさと納税の寄付先を、寄付者自身が選ぶことが適当だと判断されました。

租税は国や地方自治体が強制的に徴収されるものですが、それを寄付者が寄付先を選択できると言うことは、租税の強制性に照らすと先進国はもちろんOECD各国でも例の無いものです。寄付金を税の分割と捉えることでは無く寄付金として応用する事が考えられました。

寄付金控除の仕組みでは、控除方式のわかりやすさという観点から見ると、所得控除の場合、税額軽減額は控除額に個々の納税者に適用される限界税率を乗じて算出する必要がありますが、税額控除の場合、控除額と税額軽減額が同額となるため、納税者にとっては効果が実感しやすく分かりやすいものと考えられました。

控除対象となる個人住民税はと道府県民税4%と市町村民税6%があります。納税者の意識に都道府県民税と市町村民税の区別が無い事、寄付する際にも都道府県民税と市町村民税を区別しないことから、控除の割合も都道府県民税4%、市町村民税6%に決まりました。

ふるさと納税制度を導入するにあたり、これまで確定申告をしていなかった給与所得者が面倒な確定申告をすること無く、簡素な申告手続きで済ますことができる事が求められました。これがワンストップ特例制度となります。一定の条件を満たせば確定申告をすること無く控除を受けられます。
更に制度導入後の改善方策として、寄付者の便宜のため、寄付の受け入れ等について地方団体共通のポータルサイトを活用することにより、寄付手続きの見える化を図り、寄付受け入れに係わる手続きの電子化を採用しました。国税庁は特定事業者を指定しています。
国税庁が指定した特定事業者に掲載されています。