日本の人口の大半が都市部に居住していて社会生活を送っています。支払う税金も居住地の都市部となります。ところが、都市部の居住者の数十パーセント(東京圏に居住する人の3割以上が他の地域圏の出身者というデータがあります)が地方出身の方です。幼児期、少年期を地方で生活を送り、青年になると就職、もしくは進学して都市部に移住します。幼少期、少年期の人に費やされる地方自治体の税金は莫大な額となりますが、その人が就職をして納税をするのは都市部となってしまい、育てた地方には税収がありません。この不公平を是正する目的としてふるさと納税が考案されました。(総務省の試算では地方で18才まで間の教育、福祉、医療等にかかわる費用は1,800万円との報告があります)

もう一つの目的は納税者自身が税金を納付する先(地方自治体)と目的を選べると言うことです。税収と言う様に税金は一方的に徴収されるものだったのですが、ふるさと納税では納税先(地方自治体)を選べ、なおかつ税金の使用目的も指定できるのです。

ふるさとは出身者にとっては格別な思いを持つ土地です。都市部に住んでいても少しでもふるさとに貢献したいという思いはあって当然です。その思いを叶える上でもふるさと納税は有効と判断されました。

更にもう一つの目的はふるさと納税と言いながら、出身地の地方自治体に納税先を限定していないことです。例えば旅行で何度も訪れて愛着のある街、ボランティア活動などで縁が出来た街、老後を過ごそうと思っている街に納税を選定することが出来ます。これは、寄付者出身地、もしくは生育地を証明する事の事務的な煩雑さを回避すること、寄付者がどこをふるさとと考えるかを尊重することを重要視したためです。

このため、ふるさと納税という言葉ですが、実際は地方自治体への寄付と言う事が出来ます。税法上、寄付には税の控除が適用されますので、ふるさと納税も控除が適用されます。自己負担2,000円を負うだけで、それ以上の全額が控除の対象となります(年収や各種控除により上限は異なります)。

寄付を受けた地方自治体はその税金を有効に活用するように意識することが期待されます。更に寄付金を有効活用するだけで無く、寄付者に対して魅力的な商品やサービスを提供する自治体相互の切磋琢磨が期待されます。

この様なわけでふるさと納税の制度ができました。